もう怖くない!llustratorの入稿データで戻りをなくす13のチェック項目

もう怖くない!llustratorの入稿データで戻りをなくす13のチェック項目

データを入稿した際、印刷会社からの戻りが多い、無事入稿できたとしても実際の仕上がりを見たら思いのものと違った・・といった経験を印刷物を手がけたことのあるデザイナーさんなら、一度は通ってきている道だと思います。

自分のなかで腑に落ちない結果になるだけでなく、入稿の過程で納期が遅れたり…なんてハメにならない為にも、入稿前に必ずチェックしたい13項目をご紹介します。

これさえ守れば、大体の印刷物はスムーズに入稿できるでしょう!

  1. ドキュメントカラー設定はCMYKになっていますか?
  2. アートボードサイズは注文サイズで作成していますか?
  3. 裁ち落とし設定と塗り足し作成はしていますか?
  4. フォント(テキスト)は全てアウトライン化を行いましたか?
  5. 不要なオブジェクトや孤立点はありませんか?
  6. トンボはレジストレーションカラーになっていますか?
  7. 特色を使用していないませんか?
  8. 線や文字にリッチブラックを使用していませんか?
  9. 配置画像のカラーモードはCMYKになっていますか?
  10. 配置画像の解像度は300dpi以上ありますか?
  11. 配置画像は全てリンクさせるか埋め込み処理を行いましたか?
  12. オーバープリントは正しく設定してありますか?
  13. 保存時に「PDF互換ファイルを作成」にチェックを入れましたか?

「これさえチェックしておけば初心者でも失敗しない」といえるチェック項目なので、是非、実践してみてください。

1.ドキュメントカラー設定はCMYKになっていますか?

基本的には新規ドキュメントの作成時点で設定しますが、下記手順でいつでも確認&変更が可能です。RGBで作成されたデータは、印刷すると色味が変化してしまうので、必ず入稿前にもう一度チェックしましょう。新規ドキュメントの作成時はここでカラーモードを設定できます。

作成した後でもここから確認や変更が可能です。

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2.アートボードは注文サイズで作成していますか?

最近のイラストレーターは、仕上がりサイズをアートボードとする方向に向かっているようです。アートボード=仕上がりサイズで作成する場合は、プリセットで選択するか、幅・高さで数値を打ち込みましょう。

が、まだまだ印刷会社も最新を追えておらず、アートボード内にトンボを含むデータの方が、印刷会社に誤解も少なく、従来の方法に近いため、弊社ではアートボード=仕上がりサイズとはしていません。どちらにするかは会社の方針や印刷会社の指示に合わせましょう。

見開きで作成した冊子の表紙、或いは2つ折りや3つ折りのリーフレットのように、トンボ(トリムマーク)が必要なデータの場合を除き、基本的にアートボードは仕上りサイズに設定しておく方が、不要なトラブルを避ける事もでき、何かとスムーズです。その場合も、必ずトンボはつけておきましょう。印刷会社が戸惑わずにすみます。

アートボードサイズで原稿を作成する場合には、アートボードのサイズは、ツールパネル、またはアートボードパネルから確認&変更が可能です。

3.3mmずつの裁ち落とし設定と塗り足し作成はしていますか?

絵柄や線、画像など、紙面のフチまでオブジェクトがある場合は、「裁ち落とし(塗り足し)」のあるデータを入稿する必要があります。塗り足しがないと、断裁時の誤差で内側にズレた時、白(下地の紙色)が出てしまいます。

塗り足しは、仕上りサイズの左右上下それぞれに3mmずつ、合わせて幅・高さに6mmずつ設けるのが一般的です。(印刷会社によっては異なるかも知れませんので確認しましょう)新規ドキュメントの作成時に「裁ち落とし」の天地左右を入力しておきます。

新規ドキュメント作成時に裁ち落としを入力します。裁ち落とし設定は、作成途中など後からでも変更が可能です。

[ファイル] → [ドキュメント設定]ファイル→ドキュメント設定からでも裁ち落とし設定が可能となっています。裁ち落としは天地左右にそれぞれ3mmずつが一般的です。ドキュメントサイズを仕上りサイズにしておけば、塗り足しの有無も一目でわかります。

4.フォント(テキスト)は全てアウトライン化しましたか?

アウトライン化とは、文字情報(テキストオブジェクト)を図形情報(パスオブジェクト)に変換する処理です。

文字情報であるフォントの搭載状況は、OSやバージョンなど環境によって異なるため、アウトライン化をしないと入稿先の環境でファイルを開いた時に、別のフォントへの置き換わりや文字化けが生じる原因になります。

[オブジェクト] → [すべてのロックを解除] → [選択] →[すべてを選択] → [書式] → [アウトラインを作成]

アウトライン化の後は、フォント検索などでフォントが表示されないことを確認します。

[書式] → [フォント検索]

5.不要なオブジェクトや孤立点はないか

アートボードの外にあるオブジェクトや、孤立点などがあると、印刷会社でエラーメッセージが出る原因にもなりますし、ファイルに無駄な容量を持たせることになるので、入稿前はもう一度確認し、あれば削除しておきましょう。ちなみに孤立点とは、図形や文字になっていないアンカーポイントのことです。

孤立点の有無は選択メニューのオブジェクトから確認が可能です。
[選択] → [オブジェクト] → [余分なポイント]

6.トンボはレジストレーションカラーになっていますか?

一旦、トンボとレジストレーションカラーについて説明しておきます。

トンボとは
印刷物を作成する際に、仕上がりサイズに断裁するための位置や
多色刷りの見当合わせのため、版下の天地・左右の
中央と四隅などに付ける目印。見当標とも言う。

レジストレーションカラーとは
カラー印刷では、全版100%
(CYMKではC:100%、Y:100%、M:100%、K:100%)の色で、
マークや文字(レジストレーションマーク)を印刷し、
それがずれないようにすることで色版ごとのずれをなくす。

Illustratorでトンボを作成する方法には「オブジェクト」メニュー→「トリムマークを作成(CS3以前:トンボ)」という方法と、「効果(CS3以前:フィルタ)」メニュー→(CS3以前:「クリエイト」)→「トリムマーク」という2種類があります。

このように、カラーパネルとスウォッチパネルで、トンボがレジストレーションカラーになっているかは必ず確認しましょう。

7.特色を使用していませんか?

印刷会社で対応していない特色は印刷時にCMYKに変換されるため、印刷物の意図しない色味の変化の原因になります。特にオンデマンド印刷は特色印刷が出来ませんので、入稿前に必ず特色を使用していないか確認しましょう。

特色にはスウォッチで下記の様なマークがつきます。

ウィンドウにあるドキュメント情報からも特色の有無をチェックできます。

8.線や文字にリッチブラックを使用していないか

リッチブラックとは、K100%のみの黒ではなく、CMYを重ね合わせた「混色の黒」のことです。K100%の透過性による色味への影響を防いだり、より鮮やかな黒を演出する際に用いるのが一般的ですが、細い線や小さな文字に使用すると、ごく狭い範囲に複数のインクを重ねるためインキの滲み等でボヤけるなどの恐れがあります。

※レジストレーションもK100%ではなく全100%なのでトンボ(トリムマーク)以外に使用しないようにします。

9.配置画像のカラーモードはCMYKになっているか

光で色を表現するモニターではRGBで作成したデータもそのまま鮮やかに見えますが、印刷する際は塗料の三原色であるCMY+Kで表現しますので、色表現域がRGBよりも狭く、全体的に沈んだ感じに変化してしまいます。データ内で配置した画像がRGBモードだと、印刷された実物では色味が大きく異なってしまいます。

RGBとCMYKについて、詳しくはこちらに記載があります。

10.配置画像の解像度は300dpi以上ありますか?

web上で使用する場合など、モニターで見る画像は72dpiあれば十分ですが、印刷物に使用するカラー画像は、原寸サイズで350dpiというのが一般的です(印刷会社によって異なる場合があるので確認しましょう)。なお、最近のオンデマンド印刷機は性能の向上もあり、そこまでなくとも美しく再現できますが、元画像の解像度より綺麗になることはありませんので、基本的に300dpi以上にするように心がけましょう。

11.配置画像は全て埋め込み処理を行いましたか?

リンク画像の入稿漏れやファイル名の文字化け等、リンク切れのトラブルを防ぐためにも、配置した画像は必ずリンクが正しくなされているか確認してから入稿しましょう。

リンク画像のリンク切れはひとめで把握できます。リンクされているはずの画像の右に、赤く×が出るので、すぐにわかります。そうなっていた場合には、リンクの再設定などで正しくリンクをつなぎ合わせてあげましょう。また、一見つながっているように見えても、他の遠いフォルダからリンクされていたりして自分が作業フォルダの位置を変えても、気づきにくいことがあります。

そのときは、そのリンクのパスをきちんと確認し、作業フォルダ直下に収まっているか、入念にチェックしましょう。なお、リンク画像などをフォルダ内でさらにフォルダ分けするとデータのやり取りの中でリンク切れを起こしやすいため、可能なかぎり1階層で全データを保管されるのがおすすめです。

また、印刷会社によってはリンクではなく埋め込みで、というところもありますので、印刷会社に確認します。画像を選択してリンクパネルの右上からメニューを開いて「画像の埋め込み」(※すべてを選択してから操作すれば一括での埋め込みも可能)入稿前は画像の埋め込みを行えばリンク切れが防げます。埋め込まれた画像にはパネル上でマークがつきます。

「リンク状態での入稿」は単品ごとで見たときにそれぞれのデータが軽くなるというメリットがあり、「埋め込み状態での入稿」はリンク切れなどのエラーがおこらなくなるというメリットがあります。それぞれ印刷会社の規定に沿って、入稿しましょう。

12.オーバープリントは正しく設定しているか

オーバープリント設定とは、色の異なる複数のオブジェクトが重なっている場合に、「下の色に重ねるか、下の色を抜くか」という製版指定の一つで、主に版ズレの防止などに使用されます。しかし、きちんと理解せずに使用してしまうと、白が飛んでしまったり、後ろの絵柄が透けてしまったり、思わぬ色味の変化といったトラブルの原因にもなりますので、印刷会社の対応にもよりますが、原則として使用しない方がお勧めです。

オーバープリントの設定や変更・確認はウィンドウメニューにある属性パネルから行えます。
[ウィンドウ] → [属性]

オーバープリントプレビューに切り替えるとモニター上で出力イメージが確認できます。
[表示] → [オーバープリントプレビュー]

13.保存時に「PDF互換ファイルを作成」にチェックを入れたか

印刷会社に入稿するaiファイルは、保存する時に「PDF互換ファイルを作成」に必ずチェックを入れましょう。ここで覚えておいて欲しいのは、製作途中のデータに限って言えば、このチェックはどちらかというと入れなくてもいい、ということです。なぜなら、製作中にはできるだけファイルを軽く扱いたいため、いちいちチェックしていると、すぐにデータが重くなってしまいます。

さて、話は戻りますが、見た目では分かりませんが、チェックを入れて保存するとファイル内部にPDFのような(他のソフトでも表示できる)互換性のある情報が作られます。なぜ必要なのかというと、印刷会社では
aiファイルから直接印刷するのではなく、InDesignなどを経由してノンブルやインデックスの追加、サイズや位置の細かい調整などを行う場合が多いからです。

その際、PDF互換ファイルがされていないと、他のソフトでは貼り付け(表示)することが出来ません。名前を付けて保存する時、オプション内の「PDF互換ファイルを作成」チェックボックスを必ずONにします。

※配置した画像を含むにチェックすると全ての画像が強制的に埋め込みになるので注意してください。

14.まとめ

データ入稿の前に必ずチェックしたい13の項目について、ご理解いただけたでしょうか。完全データをさくっと作るのはやはり経験しかありませんが、毎度どこをチェックするべきか把握しておくと、戻りも格段に少なくなるでしょう。

入稿まで進んだら、焦らずにひとつひとつチェックして、スムーズな入稿になるよう、心がけましょう。

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