
リスティング広告運用者なら必ず一度は行う作業。除外キーワードの設定や検索ボリューム数の調査・確認です。除外キーワード設定の必要性は言わずもがな、意図しない検索語句での広告露出を防ぎ、成果に結びつきづらい検索語句による広告クリックを抑制するためのものです。
要するに無駄コストの削減のためですね。検索クエリを抽出し、キーワードの一つ一つを確認していく地味な作業ですが、やるのとやらないのでは結果に大きな違いが表れ、リスティング広告運用を行う上で欠かせない指標”費用対効果”の向上にも結び付きます。
検索ボリューム数の調査もアカウントの構築前では非常に重要な作業です。
さて、筆者は特にキーワード除外の中で一つ疑問に思ったことがあります。それは”検索語句の中のスペース”です。今回はなぜそんなスペースが発生するのか、それをどのように生かすのかをお伝えできればと思います。ちなみに筆者は、ユーザーが意図してスペースを空け、検索を行っているのではないかと思っていました。
目次
検索語句の中のスペースって何?
検索語句の中のスペースと言われても、いまいちピンとこない方もいらっしゃると思いますので、検索クエリの表示方法までのおさらいも兼ねて、一つ例を出してみましょう。
①キャンペーンタブをクリック
②キーワードタブをクリック
③検索語句をクリック
この順番で管理画面を進めていきましょう。そこで例えば、検索語句レポート上にこんな検索語句があったとします。
※これはあくまで例なので、実際このような検索語句はまれかもしれませんが・・・
(_はスペースを表す)
「福井_県_福井_市_木田」
「福井_県_福井」
「福井_県_木田」
このような検索語句を一度は見たことがあるのではないでしょうか。この不自然なスペースが今回のテーマでもある形態素解析による結果なのです。
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形態素解析とは何なのか
形態素解析とは、検索エンジンでも使われている自然言語処理の手法のことで、ある文章やフレーズを「意味持つ最小限の単位」に分解して、その文章やフレーズの内容を判断するために用いられています。もちろんこのシステムはGoogle Adwordsとyahoo!プロモーション広告、どちらにも適用されているものです。
上記の検索語句を例とするならば、システムが「福井県福井市木田」を「福井」「県」「福井」「市」「木田」と分解し、その上でこの検索語句は地域名だと判断しています。
また、最近では「喋り言葉」での検索語句も増えてきているので「ご飯が食べたい」という検索語句が「ご飯_が_食べ_たい」という感じでレポート上に表示されたり、「ベランダの広いマンションに住みたい」という検索語句が「ベランダ_の_広い_マンション_に_住み_たい」といった感じでも表示されたりしています。
この形態素分析は非常に気まぐれなシステムで日々解析結果が変動していると言われています。なので、ある検索語句において一か月前は5単位に分解されていたのに、今回は6単位に分解されていたなんてこともありそうです。
リスティング広告においての利用法
主な利用法は除外キーワードの設定です。特に検索連動型広告では形態素分析後の検索語句と、形態素分析後の除外キーワード、キーワードのマッチタイプからその検索語句が除外の対象となるかどうかを判断しています。
例1.「木田」を含む検索語句に対しての除外設定
「福井_県_福井_市_木田」
「福井_県_福井」
「福井_県_木田」
このキーワードを含む検索語句を除外したい場合は、形態素分析後の最小単位となる語句「木田」をフレーズ一致で設定し、除外キーワードとして登録することによって、「福井_県_福井_市_木田」「福井_県_木田」この二つの検索語句を除外することが可能となります。
例2.「木田」を含む検索語句にだけ広告を表示させる
このキーワードが含まれる語句にのみ広告を表示させるためには、どうするか。「福井」をフレーズ一致で登録してしまいますと、すべてに対して広告が表示されませんので注意が必要です。なので、この場合は「福井_県_福井」で登録します。ちなみに、スペースを詰めて登録するのは問題ないのですが、意図しないような機会損失を防ぐためには念のため検索語句レポートと同じ表記で除外キーワードを設定すると良いかと思われます。
検索ボリューム数の調査段階
広告代理店に勤務されている方ならご理解いただけるかと思いますが、新しく広告の出稿を考える際、または新しいキーワードで広告を出稿させる際にもこの形態素解析が絡んでくることがあります。営業段階の話であるならば、主要キーワードに対しての月間検索母数や平均のクリック単価などを予め調査・確認し、全体の予算設定を行ったり、若しくは受注するか否かを判断したりします。
Google Adwordsならキーワードプランナーを、yahoo!プロモーション広告であるならばキーワードアドバイスツールを利用するのですが、あるキーワードに対してはスペースの有り無しで検索母数、または平均クリック単価が変動することがあります。サブキーワードであるならばそこまで重要視する話ではないのですが、主要キーワードなら話は違ってきます。
例えば、クライアントの業種が時計屋で、リスティング広告出稿を考えているとします。その際の主要キーワードを「腕時計」と仮定したとして、「腕時計」は「腕_時計」と分解されます。キーワードのスペース有り無しで検索母数を調べてみると、ボリューム、平均のクリック単価が違ってきます。検索ボリュームで数値に差が出ているということは、異なるキーワードと認識されているということですね。
このような、需要のある主要キーワードは初回のキーワード入稿の際にスペースの有り無しの両方を登録しておくと機会損失的な意味で取りこぼしがないので良いかと思います。ちなみにこれは自然検索結果(SEO)でも影響があり、それぞれの検索エンジンで対象のキーワードのスペース有り無しで検索をかけてみると検索結果が微妙に違ってきたりします。
まとめ
さて、検索語句の不思議なスペースの謎は解けましたでしょうか。形態素解析といわれる自然言語処理の手法による結果。なんだか難しそうな響きですが、蓋を開けてみるとそんなことはありません。「意味を持つ最小の単位に分解」することは文法の本質的な部分を突いていて、すごく理にかなっていると思います。
最後に、この形態素分析を理解してどの範囲まで作業を行うのか。正直に言うと、このシステムを考慮して作業を行うことは、ある程度の成果が既に出ているアカウントの点数を97点から98点に向上させることであり、最優先でやるべきことが他にはたくさんあります。広告の結果に基づき、予算の引き上げ、入札単価の調整、広告文の変更、画像差し替え、新規広告出稿考案、各種解析設定、抜本的にプロモーションを改善するなど重点的にやるべきことはやまほど存在します。
その忙しい時間のなかでこれだけに時間を割くのは難しいことですし、ある意味ナンセンスだと思います。ちなみに、筆者がGoogleに直接確認したところ、「結果が芳しくないアカウントでは考える必要性はないとまでは言わないが、優先度的には低い」とはっきり言及されました。
ただ、ほぼ完璧なアカウント構築した後に行う作業としては覚えておいて損はないと思いますし、クライアントに検索語句レポートを見せた時に「この空白って何?」と質問された時に、円滑に説明できると、より信頼関係も深まり、その後の仕事がしやすくなるのではいかと思います。
疑問に思った事、それが今自分に必要ではないと感じたとしても、そういう知識を少しずつ自分の中に落とし込む事で、将来的に豊富な知識を持つリスティング広告プレイヤーになれるのではないでしょうか。
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