
日々私たちが日常的に使っている言葉「日本語」の他に、世界にはどれくらいの数の言語があるかご存知でしょうか。
世界の言語についてまとめてみました。
目次
世界にある言語の数は
現在、世界の言語の百科事典といわれているEthnologueによると、世界中では現在7,099の言語が話されています。
膨大な数の言語数ですが、驚くことに世界には70億人もの人口がいるのに、半分以上の人々はたった23の言語しか話していません。
「7,000もの言語があるのに」です。
そして、世界の3分の2の言語は、アフリカとアジアの地域に集中しています。また、北米と南米の太平洋言語は平均1,000人の言語者しかいませんが、世界の言語数の3分の1以上を占めています。
母語でみる世界の言語
言語を人間が幼少期から自然に習得する「母語話者」数からみると、人口が一番多い中国語がダントツに多く、次いで英語、ヒンディー語、スペイン語、アラビア語とつづき、日本語は9番目に多くなります。
そして、先程ご紹介した世界地図から分かる通り、世界の多くの国々は、ひとつの国の中にたくさんの言語があり、話されています。単一か複数の言語を使って暮らしているのです。
世界で一番の言語数をもつ、パプアニューギニアという(日本の愛知県とおなじくらいの人口で中国地方と同じ大きさ)国では、なんと840もの言語が話されています。
日本では、日本語が共通語として使われていますが、Ethnologueのウェブサイトによると日本語でも標準語のほか方言などを含み、15言語が話されているとカウントされています。日本語とアイヌ語のほかに、宮古語、八重島語、奄美語などです。
世界では、国の中でほかの言語と接する機会が多いためか、スムーズに話すことは出来なくても、バイリンガル(二言語話者)、多言語話者(マルチリンガル)がいます。※世界の人口統計・・・2016年時点
※言語数・・・2017年時点
さて、私たち日本人はと言うと、ほとんどの人が1ヶ国語、つまり母語である日本語しか話せないモノリンガルです。モノリンガルは、世界の中でも約3割ほどしかいない少数派です。
他の言語の影響をうけることがなく、島国で外国とも接することのなかった日本語は平仮名やカタカナ、オノマトペなどの独自の進化を遂げたと考えられています。
2,500の言語の消滅の危機
しかし、たくさんある言語の大半は話者数が少ない言語であり、UNESCOの調査によると、世界の言語の約4割の2,500の言語が絶滅の危機にあるといいます。現在、食い止めようとする努力はおこなわれていますが、いくつもの言語の消滅が進行中です。
少数話者しかいない言語は消滅危機言語として、近い将来の消滅があやぶまれており、日本ではアイヌ語が極めて深刻とされております。
言語が消滅してしまうということは「話者」がいなくなることです。
言語の消滅の理由はさまざまありますが、実は経済的理由が一番多いです。観光地で観光客の国の言葉を話せたり、出稼ぎに行った先の国の言葉が話せるだけで、話せない人より、よりよい収入がみこめるからです。
また、言語の絶滅の理由の中には、差別などによる迫害や虐殺などから逃れるためという悲しい現実もあるのが現状です。
新しくできた言語 ニカラグア手話
世界で一番新しい言語として、ニカラグア手話をご存知でしょうか。
ニカラグア手話は、1970~1980年代にかけて自然に発生して誕生した視覚言語です。世界で最も新しく誕生した言語であり、歴史上初めて学者たちによって誕生の瞬間が目撃された言語として有名です。
ニカラグア手話のはじまり
ニカラグア手話のはじまりは、中南米にあるニカラグア共和国で、聴覚障害をもつ子供を400人あまり集めた全寮制の学校からはじまりです。
学校では手話を教えるという概念がなかったため、スペイン語の指文字と読唇術による教育方法で授業が行われていました。
しかし、耳が聞こえない生徒たちにとって「単語」という概念がを持たないため、物事を教えるどころか、教師と生徒の意思疎通が出来ないという最悪な状態が当初続きました。
いつしか子供たちは、友達とコミュニケーションをとるため簡単なジェスチャーを使っていき、どんどん本格的な文法を備え、ついには複雑な意思疎通も行えるほど成熟した言語へ成長させていくようになったのです。
子供たちはお互いに言語の疎通をはかれるようになりましたが、教師との間の意思疎通は出来ないままです。
教師にとっては生徒たちがお互いにコミュニケーションを何故とれているのか謎に包まれていたため、専門家である言語学者によって解読され、今日の発見までに至ったということです。ニカラグア手話は、であり、現在ニカラグアの公用語として認められています。
ニカラグア手話から分かること
私がもっとも面白いと感じたのは、ニカラグア手話を複雑にして文法のルールなどを決めたのが10歳以下の少年たち、ということです。
「言語のはじまり」とは、ニカラグア手話のように、他者とコミュニケーションを取るために相手を理解することから始まったのでしょう。
しかし、「言語のおわり」も、ある意味コミュニケーションを取るためでもあるのです。
言葉は文化です。
私たちが日常的に話す日本語は、日本で母国語として話す人がほとんどで、外国での母語コミュニティも多くありません。
つまり、日本という国以外では日本語を話す人がほとんどいないのです。
現在に日本の人口が減り続けていることに比例して、日本語話者数も減少するため、日本語は遠い将来絶滅の危機に瀕するということもあり得るかもしれません。
世界の中でも日本語を使っているという誇り
言語が失われるということは、文化が消滅するということでもあります。
今や小学校でも英語が必修科目となりましたが、外国語だけでなく今一度、日本語と日本語で表現された文章や文化にも興味をもっていただければと思います。
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