認知的不協和とは?仕事で起こる価値観のミスマッチを防ぐには

認知的不協和とは?仕事で起こる価値観のミスマッチを防ぐには

多くの人や企業が、やりがい搾取や残業代未払いといった社会的な問題を抱えています。 仕事における認知的不協和が、社会問題にどのように関わっているのか? また、どのような影響を及ぼしているのか今回の記事で詳しくお伝えしたいと思います。

 

認知的不協和とは?


認知的不協和理論とは、アメリカの心理学者、レオン・フェスティンガーによって提唱された社会心理学用語です。認知的不協和とは、人が自身の中で矛盾する認知を同時に抱えた状態です。また、そのときに覚える不快感やストレスを指します。矛盾する二つのものの見方や解釈に触れた時、納得がいかず、モヤモヤした違和感を覚えるのが認知的不協和です。

 

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仕事面で発生する認知的不協和


では、実際の仕事において、どのような場面や状況で認知的不協和が生じるのでしょうか?

例えば、料理が好きな人が料理の仕事をしたい!と思い料理の道に進んだとします。しかし、実際働いてみると、自分のやりたかった料理の仕事だけが出来る訳ではありません。食材の下ごしらえや食器洗い、買い出し、はてはお金の計算など面倒だと感じる作業や苦手な作業もする必要が出てきます。

こういった時、大半の人は「こんなはずじゃなかった」や、「自分のやりたかった仕事じゃない」などの失望や、不満といった負の感情を抱く状態が認知的不協和です。

認知的不協和を感じた時の思考

私たちが認知的不協和を抱いたとき、どのような方法で解消するのでしょうか?

一般的な解消方法としては、主に2つの思考パターンにわかれます。

・新しい認知を否定し、古い認知を肯定
・新しい認知を肯定し、古い認知を否定

では、具体的にどういうことなのか、ダイエットを例に説明していきたいと思います。

古い認知を肯定し、新しい認知を否定する

ダイエット中に友達から、期間限定のスイーツビュッフェに誘われたとします。この時「新しい認知を否定し、古い認知を肯定する」という思考法をとった場合、次のような思考になります。スイーツ大好きだから凄く行きたい、でもまた違うスイーツビュッフェが有るかもしれないから今回はいいや!今度こそ絶対ダイエット成功させるんだから!

この事例では、「スイーツビュッフェに行く」という新しい認知を否定し、「ダイエットを成功させる」という古い認知を肯定しています。

新しい認知を肯定し、古い認知を否定する

上記の事例で「新しい認知を肯定し、古い認知を否定する」の思考法をとると次のようになります。期間限定だし、せっかく友達が誘ってくれたし…ダイエットはまた、明日からでいいやっ!この場合では、「スイーツビュッフェに行く」という新しい認知を肯定し、「ダイエットを成功させる」という古い認知を否定していますね。

上記二つの事例のように、人は自分の気持ちを様々な思考で整理し、認知的不協和を解消しようとします。どちらの解消方法が良いか?とは決して決められることではありません。どちらも認知的不協和を解消するためには必要な考え方です。

自分の人生を肯定する

認知的不協和を解消するための自己正当化とは、簡単にいうと自分の考えや選択肢は正しいと思い込んでしまうことです。再び、ダイエット中にスイーツビュッフェに誘われた例で考えてみましょう。友達に誘われてスイーツビュッフェに行ったとします。この時、認知的不協和を自己正当化で解消しようとすると、次のような思考になります。

私は本当は行きたくなかった、でも友達が誘ったから仕方なく…
私は悪くない、悪いのはダイエットしているのに誘った友達だ。

認知的不協和を解消しようと、自分に都合が悪い内容や情報を、都合の良いように解釈したり言い訳をし、自分の行動を正当化しようとしてしまうのです。自ら行動を起こすなどの努力を放棄し、不快の源となっているものを消す行為は、確かに一時的には認知的不協和を解消することができます。しかし、このような解消法が果たして正しいのでしょうか?

自己正当化による認知的不協和の解消は、やはり短期的なものであり、根本的な問題の解決とはなり得ません。

正しい認知的不協和の解消法

では、仕事で認知的不協和を抱いたときどのように解消したら良いのでしょうか?不快感を抱えたまま働くのは、日常的に精神的な苦痛を感じることになります。このように、常にストレスを抱えた状態が続くと鬱になってしまう可能性もあります。

このようなストレスを解消するためには、自分の仕事に新たな価値を付加することが効果的です。社会や地域貢献、自然環境や雇用の創出など社会的・道徳面での価値を見出すことで、自分が抱えている認知的不協和を解消し、自分を納得させることがあります。

もしくは、「好きなことだけで仕事が出来ない」と、認知そのものを変化させ、認知的不協和が起こりにくい考え方を身に付けることもあります。このように、様々な方法で私たちは認知的不協和の解消を図ることができるのです。

自分の人生を肯定する

認知的不協和にまつわる話は、大抵が「真実を捻じ曲げてでも自分を肯定する」という大変自分勝手なものです。ただ、見方を変えれば「自分の人生くらい自分が肯定してあげなくては」という前向きなものとしてとらえることもできます。

しかし、必ずしも自分の選択を肯定し続けることが正しいかというと、そうとは限りません。なぜなら、上記で述べた仕事に新たな付加価値を見出すという方法は、確かに一時的には幸福感を感じるかもしれません。

しかし、ストレスを抱え続けているという一面があるのも、また事実なのです。認知的不協和の解消を図るため、無理矢理体の良い理由を作り出しただけで、それは現実逃避と同じです。

このようなことから自己肯定とは、自分で選択した行動と理由が入れ替わってしまうなどの矛盾や、倒錯的な現象が生じてしまうこともあります。

 

「やりがい搾取」という言葉が近年社会問題となっています。やりがい搾取が認知的不協和にどのように関わっているのか、説明していきたいと思います。

しばし、私たちは給料や待遇が悪いなどストレスが生じる仕事に「やりがい」という新しい認知を付加することで、認知的不協和を解消することがあります。そして、「やりがい」という価値観を給料や待遇と同列のものと考え、時には給料や待遇以上に価値あるものと捉えてしまうこともあります。

また、やりがい以外にも、人脈やスキル、職歴など、今までなかった新たな付加価値を見出すことで、直視したくないブラックな仕事や、嫌々行っている業務などの現実を、自分に都合よくねじ曲げて、解釈してしまうこともあります。しかし、やりがい「搾取」と表現されていることからもわかるように、自分を誤魔化したり、嘘をつき続けるこの状態は決して褒められるものではありません。より悪循環な環境を生み出すことになってしまう可能性もあります。


確かに、仕事で感じる精神的な苦痛は「やりがい」という新たな付加価値を見出す方法によって取り除くことは可能です。しかし、できることなら誤魔化すことで認知的不協和の解消を図るのではなく、人間関係の良好な心地よいオフィスなど、より良い職場環境を作っていくことが大切です。

厚生労働省のホームページに、職場の環境改善事例が紹介されていますので、気になる方は一読してみてください。
厚生労働省HP:職場環境を整備・改善したい

認知的不協和を起こさないためには

最も大切なことはストレスを溜めないということです。現代の社会で働く上で、自分に降りかかる全てのストレスを取り除くのは難しいのが現状です。しかし受けるストレスを出来るだけ最小限に抑えることは可能です。サービス残業が多い職種や、自分の働きに見合わない給料など、待遇面で納得がいかないことが有ればそのまま諦めるのではなく、会社に伝え改善を促す働きかけを行うことが必要です。

もし会社に伝えても解消されない場合は、その会社にしがみ付くのではなく、ハローワークや転職サイト、またエージェントを介すなど、様々な求人情報を活用し、より良い環境の企業に転職するなど外部に向けた解決策を測ってみるのも手です。その際に気を付けたいのが、自分が仕事に何を求めているのか把握し、譲れないものはしっかりと主張できるようにすることです。

働くうえで、重要視するポイントがわからない方は、こちらを参考にしてみてください。

働く理由とは?お金のためではなく、その先にある大切な何かとは

自分らしく働くために

働くことは私たちの生活と深く関わっています。そのため認知的不協和は決して他人ごとではないでしょう。 もし認知的不協和を抱いた時は、目の前のことだけに捉われず、広い視野をもち様々な可能性を考えて見ましょう。

 

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