知ってると知らないじゃ違う 有料フォントの名前の構成

知ってると知らないじゃ違う 有料フォントの名前の構成

文章の表現に欠かせないフォント。
特に印刷やWebなどの制作に関わる現場ではバリエーションや異体字の種類などの理由でメーカーからフォントを購入しているところがほとんどです。
購入したフォントの名前を見てみると

「ヒラギノ明朝Pro」
「ヒラギノ明朝Std」
「リュウミンPro5」
「リュウミンPro6」
「FOT-ニューロダンPro」
「FOT-ニューロダンProN」

といったように同じような名前が並んでいますが違いが分からずなんとなく使っていないでしょうか?

このフォントの違いを知らずなんとなく使っていると場合によっては大きな間違いを生むことも・・・

この微妙な違い、知っているだけで文章の制作時にどのフォントが適しているのか考えやすくなります。

フォント名の構成

フォント名のほとんどは主に4つのパーツで構成されています。
上の例に挙げた「FOT-ニューロダンProN」を例えで見てみましょう。
4つのパーツに分けるとこうなります。
【FOT】→メーカ名
【ニューロダン】→書体名
【Pro】→文字セット①(Adobe-Japan)
【N】→文字セット②(JIS)

こうしてみてみるとちょっと複雑に思えるかもしれませんが意味を知ると簡単に理解できます。
それでは各パーツの説明をしていきましょう。

メーカー名

フォントの多くは頭にメーカー名を入れてあるものが多く、先に例を挙げた【FOT】はフォントを制作販売している会社のひとつ「フォントワークス」の省略名が入れられています。

このように会社名の省略を入れたもの以外にも【I-OTFイワタ新ゴシックPro】のような会社の頭文字とフォントフォーマット「OpenTypeFont」を組み合わせたものなどもあり、フォントメーカによって違いが多く、メーカー名を入れていないものもあります。
中には頭に文字セットや規格をいれているものもあります。

書体名

このパーツは名前の通り書体名が入り、そのフォントの特徴が名前で表されています。
「ヒラギノ明朝」というような角ゴシック・丸ゴシック・明朝・楷書といった一般的な書体を表す言葉に各メーカーがつけた名前を合わせたものや一風変わった面白い名前なども、名前が多すぎで覚えるのが大変ですが、覚えてしまうとフォント選びがスピーディーになります。

文字セット①(Adobe-Japan)

この文字セットとはアドビシステムズ社が日本語フォント製品用に決めた規格
「Adobe Japan Character Collection for CID-keyed Fonts」(※以下Adobe-Japan)のことです。
Adobe-Japanは現在、文字や記号のコードを7つの集合に区分しています。

Adobe-Japan 1-0(0~8283)
Adobe-Japan 1-1(8284~8358)
Adobe-Japan 1-2(8359~8719)
Adobe-Japan 1-3(8720~9353)
Adobe-Japan 1-4(9354~15443)
Adobe-Japan 1-5(15444~20316)
Adobe-Japan 1-6(20317~23057)

現在広く使われているフォントフォーマットOpenTypeFont(※以下OTF)が出始めた頃とAdobe-Japan1-3ができた時期が近いため、OTFののほとんどはAdobe-Japan1-0~Adobe-Japan1-3までに含まれる文字が使用できます。
そのためAdobe-Japan1-0~Adobe-Japan1-3(総9353字)までの文字コードが入っているものを【Std】と表記されます。

それから文字コードが増えていくことに
Adobe-Japan1-4(総15443字)までを【Pro】
Adobe-Japan1-5(総20316字)までを【Pro5】
Adobe-Japan1-6(総23057字)までを【Pro6】
と表記するようになりました。

つまりは表現できる文字コードの種類が【Std】が一番少なく【Pro6】が一番多いということです。
それならば文字が増えてもすべてまとめた方が効率がいいと思われる人も多いと思いますが、過去のデータを編集する際、フォントのデータが更新、もしくは変更されてしまうとエラーが出る可能性があるため、Std・Pro・Pro5・Pro6といったようにすべてのフォントデータを残しています。

文字セット②(JIS)

上記で説明した文字セットの後に【StdN】や【ProN】といったような最後に【N】がついているフォント名があります。
この【N】は文字セットの公的規格のJIS(日本工業規格)が2004年に「JIS X 0213:2004」(※以下JIS2004)という新たな規格に変わる際、それまで多く使われていた「JIS X 0208-1990」(※以下JIS90)から大きく変更されたため、JIS2004以降に対応しているフォントに【N】を付けて区別しています。

JIS2004で以前より変わった点は大きく分けて2つ

・漢字 168字の例示字形(見本)が変更された。
・第三水準漢字に10文字が付け加えられた。

この一つ目が重要な変更で、とある漢字を入力した際複数ある異形字の中で表示される字形が以下のように変更されました。

 

この変更によって人名・地名などの固有名詞が大きく影響を受け、変更後はパソコンで表示される文字がWindows XPとVistaで表示される字形が変わり様々なトラブルが起こりました。
フォントも同じで人名や地名を多く含む文章を【Std】の文字セットで制作した後【StdN】の文字セットに変更すると漢字の字形が変わってしまいトラブルに発展しやするなるので注意が必要です。

【N】付きのフォントで作られたデータを編集する際は
【N】付きのもので
【N】無しのフォントで作られたデータを編集する際は
【N】無しのもので行うのが鉄則です。

番外編

もちろん上記で説明したフォント名に当てはまらないものも多々あります。

その中の用語をいくつか紹介していきます。

【UD】→ユニバーサルデザインフォント
出来るだけ多くの人が見やすい・使いやすいように細かい部分に配慮や工夫がされているフォントに付いています。

【A-OTF】→Adobe-Japan OTF
Adobe-Japan規格のOTFに対応したフォント名に付きます。

【U-OTF】→U-PRESS OTF
U-PRESS(社団法人共同通信社)が新聞社など、記事を発信する際にまとめた文字セットに対応しているフォントに付いています。

最新情報をいち早くお届け!

無料会員登録していただくと、
会員限定の特別コンテンツ記事を最後まで
読むことができます!
その他、更新情報・イベント情報を
お届けいたします。

適したフォントを使うために

・新しい文章を制作するとき
・過去のデータを編集するとき
・人名が多い文章を扱うとき
・みんなが読みやすい文章を作るとき

フォント名の構成を一通り理解した上で、上記のような条件でフォントを考えてみるとある程度の目星が付きやすくなったのではないでしょうか?
目星がつくということはフォント選びの間違いも起こりにくくなり、トラブルも回避できるようになります。

しかし、フォントは年々変化していきます。

JIS規格がまた大きく変わるかもしれません。
もしかしたら新しい文字コードが沢山追加されるかもしれません。
昔の言葉が使われなくなるように、文字も消えたり、増えたりします。
こういった変化にすぐに対応できるよう常に新しい情報に目を向けていくのも沢山のフォントを使っていく上で大切なことです。

マーケティングでお悩みでしたら、
Bigmacにお任せください。

バナーlefty
バナー総合
バナー総合