
今では生活の一部となったネットショップ。外国から日本の商品を購入する人が増えています。そのため、個人でもネットショップ開設をされている方も多いのでは。今回は、海外向けに開業できるネットショップサービスのメリットや注意点、おすすめのサービスを紹介します。
目次
海外ネットショップの需要
現在、海外では日本製品の需要が高まっています。
少し前に「爆買い」という言葉が流行語になったように、中国では日本の安くて高品質な製品が人気で、日本の大手企業も海外出店に力を入れています。経済産業省の調べでは、国内電子商取引市場規模(BtoC及びBtoB)の物販系分野取引において、昨今の感染症拡大の影響により市場規模が大幅に増加しているとの発表をしています。
大まかな内訳として、日本製の電化製品、衣類、食品、生活雑貨の人気が高まっており、海外に向けた物販需要は増加の一途をたどっています。
参考:経済産業省 電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました
海外ネットショップを開業するにはどうすれば良い?
海外向けにネットショップを開設したい場合、方法は2つあります。
大手海外モールに商品を出品する。
モールとは、複数の販売店舗が1つに集まって商品を販売しているサイトのことを言います。「楽天」や「Amazon」が代表的ですね。
知名度のある海外モールに出店すれば、閲覧するユーザーが多く集まり、自身の商品がたくさんのユーザーに認知してもらえます。
ネットショップサービスを利用して、海外に販売する。
現在では、様々なネットショップサービスが増えてきています。個人でも簡単にネットショップの作成が可能です。また、海外でも利用されているネットショップを利用すれば様々な通貨対応が可能で、海外の運送会社とも連携しており、発送もスムーズです。
海外対応のネットショップを紹介!
日本でよく知られているネットショップといえば「楽天」と「Amazon」ではないでしょうか?その中でも「Amazon」は海外企業でもあり、世界的に有名なECモールなのでオススメです。そのほかにも、海外向けの大手ネットショップは様々あります。
中でもおすすめのサービスをご紹介させていただきます。
Shopify
- ショップの特徴
カナダで設立されたネットショップです。利用シェアは世界1位を誇るネットショップサービスです。利用料金はベーシックプラン、スタンダードプラン、プレミアムプランの3つで一番安いベーシックプランで月額29米ドルかかるため、月商100万円あるネットショップにオススメのネットショップと言えるでしょう。
- ショップの機能
100種類以上の豊富なテンプレートがあり、サイト構築の知識がなくても商品イメージにあったサイトデザインを選ぶだけでネットショップが開設できます。
また、マーケテイングやSEO、グーグルアナリティクスの機能も搭載しており、作成したネットショップの閲覧ユーザーを増やす手助けになると思います。
- 対応決済
日本でのクレジット決済や代引きなども可能なのはもちろんのこと、利用数の多い決済方法やペイメントなど、現地の通貨の設定が可能です。
カラーミー
- ショップの特徴
国内最大級のネットショップ作成サイトです。無料で誰でも簡単にネットショップが開設できます。基本は国内でのネットショップ販売を目的としていますが、有料のアプリ(月額5,500円)を利用すると世界125ヶ国対応可能となります。
- ショップの機能
有料のアプリを利用すれば、海外在住者向けの住所入力フォームや、EMS、DHL、Fedexなどの海外発送が可能です。また、専用スタッフの多言語対応のカスタマーサポートもついておりとても心強いです。
- 対応決済
不正決済の防止や、AmazonPay、Alipay、銀聯、PayPal、各種クレジットカードなど様々な決済手段があります。
STORES
- ショップの特徴
フリープラン、スタンダートプランの2つがあり、無料のフリープランでも海外向けのネットショップが開設可能です。設定画面で「海外住所へ発送」をオンにすると国内発送と同じように発送方法や、発送地域などを設定すればすぐに海外向けのネットショップが開設できます。費用をかけず海外向けのネットショップを簡単に開設したい方にオススメです。
- ショップの機能
STORESのストアタイプは3つあり「国内のみの販売」「海外のみの販売」「国内メインで海外も視野に入れた販売」があります。設定画面で簡単に切り替えが可能で、目的にあった設定をすぐに変更することが可能です。
また、決済画面は日本語/英語/繁体字中国語/簡体字中国語/韓国語/タイ語の6つの言語で表示変換することができます。
- 対応決済
日本国内向けのネットショップなので海外向けの対応決済は少なく、クレジットカード、PayPal、AmazonPayなどとなり、他は国内向けの銀行振込や代金引換、コンビニ決済になります。
BASE
- ショップの特徴
ネットショップ開設実績4年連続1位になったサービスサイトです。無料で開設が可能となっており、拡張機能で外資表示や言語などの問題が解決できます。対応可能な外資表示は34ヶ国あり、設定によっては英語化されたショップが表示可能です(運営者が入力する項目、商品名、商品説明などは自身で英語表記が必要になります。)
- ショップの機能
無料の拡張機能の「英語・外資対応App」をインストールし、表示したい言語、通貨を選択すると海外向けのネットショップが開設できます。しかし、購入者が海外住所を入力する場合は別途、無料の拡張機能「送料詳細設定 App」をインストールする必要があります。
- 対応決済
Amazon PayやPayPal決済、銀行振込になります。ただし、銀行振込には送金や入金確認で時間がかかり、送金手数料は購入者負担となるので注意しましょう。
amazon
- ショップの特徴
世界で有名なECモールです。アメリカのシェア率は約50%と言われており、日本でもよく利用される方もいらっしゃるのではないでしょうか。圧倒的な認知度を誇るので、集客率は抜群です。しかし、Amazon倉庫(FBA)を利用する場合、月額利用料が発生し、アメリカと日本ではドメイン名も異なるため、国外法人口座を開設する必要があります。有名なECモールですが、費用がかかってくるので利用の際は調査が必要です。
- ショップの機能
アメリカ、アジア、ヨーロッパ、中東など様々な国にストアを展開しています。しかしそれぞれ独立したドメインが存在するので、販路をどこにするのか絞る必要があります。販路を決めたら、Amazonが公式で出品ガイドを掲載しているのでガイドに沿って出品作業を行います。また、現地言語でのカスタマーサポートも提供されているので、不明な点があれば公式サイトを確認するかカスタマーサポートに連絡するのも良いと思います。
- 対応決済
クレジットカードや現地銀行口座の決済、Amazonギフト券など様々な決済が可能です。
天猫国際(T-mall Global)
- ショップの特徴
中国の大手オンラインマーケット運営会社のアリババグループが運営する最大のECモールが天猫国際(T-mall Global)です。中国国内法人向けサービスは天猫(T-mall)と言い、中国の取引額の50%を占めています。天猫国際(T-mall Global)は中国消費者に商品発送する際、在庫管理や物流などをアリババグループが提供してくれます。中国の日本製品の人気は高く、出品できれば販路拡大のチャンスに繋がるでしょう。
- ショップの機能
日本でも有名な大手企業、資生堂やライオン、無印良品など様々な企業が出店しています。海外に登録商標があること、自国外においても良い経営状態、信用があることなど、出品のための審査はかなり厳しいです。また企業種ごとに6つの形態があります。
・ブランド
・スーパーマーケット(オンライン)
・スーパーマーケット(オフライン)
・ブランドから販売権を譲渡されたお店
・天猫国際のカテゴリーで複数のブランド商品を運営しているお店
・天猫・天猫国際でブランドやフランチャイズの代行運営、制限されている商品を販売していない店舗
上記6つの出店形態ごとに必要資料が違っていたり、初期費用や年間費用が発生するので出店する際は調査が必要です。
- 対応決済
中国では「AliPayアリペイ」と呼ばれる決済システムが多く利用されています。日本でよく利用するクレジットカードの利用はあまり浸透していないようです。
ebay
- ショップの特徴
日本ではそれほど知られていませんが、出店可能国数がとても多く、海外モールでは、世界最大級を誇ります。世界では知名度があり、カテゴリー数は3,000以上、出品数12億超えで、多種多様な商品がラインナップされています。無料で出品が可能ですので、ハンドメイドなど個人の方にも販売が可能なサイトになっています。また、多くのユーザーに利用されているため集客率は高いですが、問い合わせサポートや、商品説明などは英語表記が必要なため、ある程度の語学力が必要となります。
- ショップの機能
日本語でも販売を支援する無料のポータルサイトがありますので参考にしつつ出品作業が可能です。
また、売上管理やアクセス解析が可能ですので、ストアの分析をしながら落札回数や、利用ユーザーがどれだけ購入したか、検索回数はどれくらいかなどの分析が可能となります。
- 対応決済
世界で利用されているPayPalや、デビットカード、クレジットカード、プリペイドカードが利用可能になります。
海外ネットショップのメリットとは?
近年日本でも、国境を超えて行われる商品取引が可能なECサイト「越境EC」が増えてきています。外国取引が増えた理由の一つとして、日本の安全で高品質な商品が海外でも好評なことです。
海外での商品取引は、これからも成長拡大が予想されており、外国向けの商品販売サイトを開設、または有名な海外のECモールに出店すれば、販路が拡大し収益が見込めます。
また、海外で実店舗を構えるよりコストが抑えられ、現地調査や交通費、土地購入の費用も不要になってきます。インターネットがつながる環境と商品があれば、初期投資や失敗のリスクも少なくすみますので、早い段階でビジネスが開始できます。
海外ネットショップの注意点
伸び代のある海外ネットショップですが、日本とは違い、中国やアメリカでは一般でも価格交渉が行われており、オーナーの評価を重視する海外ユーザーも多く存在します。そのため、運営者にも相応の語学力や一定の評価を集めることが必要になってきます。
また、ストアのシステムや、利用する上でのコスト、各国ごとに販売制限があるなど、海外向けのネットショップを開業するには注意点がいくつかあります。
ストアのシステム
最初に海外向けネットショップを開業する際にどのECサイトにするか決めるために各ストアシステムで注意したいことが4つありますので、ご紹介させていただきます。
サイトの言語対応
海外向けのネットショップを開業する際、まずは利用するECサイトをどこにするか決めることです。海外向けのECサイト(越境EC)は英語圏の取引が多くあるため、システム上、英語対応可能なものは多く見られます。
しかし、あまり取引などをしていない国では言語対応していない可能性もあります。会社にとってどの国で商品を取引していきたいかをしっかりと決めた上でどのサイトにするか選んだ方が良いでしょう。
発送期間と発送システム
国によって配送日数は変わってきます。どれほどの期間で届くのかの確認が必要になります。また、海外で有名な配送業者を利用する場合、伝票の発行ができるかの確認も必要です。利用するECサイトのシステムから出力できるかどうかで、発送時にかかる手間が大きく変動します。
決済方法
決済方法も国によって様々あり、希望する決済方法が、対象国でも対応しているかどうかの確認が必要です。代引きやクレジットカードの利用は日本では一般的ですが、海外では代引きを利用している国は少ないため注意しましょう。
しかし、国によっては独自の決済方法が存在している可能性があるので、事前に調査しておきましょう。
また、現地であまり普及していない決済方法を利用したため、購入の離脱につながってしまい、商品の売り上げが伸び悩んでしまうという例もありますので注意しましょう。
コストがかかる
海外向けのネットショップは国内向けのサイトより税金や送料などが発生し、コストがかかります。ネットショップ開設時にコスト面を想定しておらず、意外な出費になってしまったということのないようにしましょう。
送料の違い
国内発送より海外へ商品を送る方が送料は高くなってしまいます。発送する地域によっても送料は変わり、韓国や中国のアジア圏よりも、アメリカやイタリアの方が送料は高くなります。
同じ商品でも、東京から中国に発送する場合は期間が2日かかり、送料は1,400円に対し、イタリアに発送する場合は、期間が4日、送料は2,450円と発送期間も送料も大きく変わってしまいます。(日本郵便/国際郵便 EMS調べ)
送料のコストを抑えるには
日本から海外へ発送する際、「国際郵便」と「国際宅配便」の2つあります。国際郵便で安くて有名なサービスは日本郵便の「EMS」「国際eパケット」が該当します。国際宅配便では、海外の物流会社のDHLやFedEx、日本ではヤマト運輸なども民間配送会社として独自のサービスを提供しています。
出荷数や配送スピードが多い場合、商品の値段が20万以上する場合などは、国際宅配便が良いですが、海外向けのネットショップを開設したばかりで対応件数が少ない場合は国際郵便の方が、手軽で安くコストが抑えられると思います。
関税の発生
輸入した商品に課せられる税金のことを「関税」と言います。WHO(世界貿易機関)が国の産業保護を目的として定めたものです。先ほど紹介した国際郵便は通関手続きが不要ですが、発送する商品が20万以上になると、通関手続きが必要になります。
また、通関手続きは受取人が申告する必要がありますので、事前にアナウンスをしておきましょう。国際宅配便を使う場合は、業者の通関士が代行で手続きを行ってくれることもありますので、利用する宅配サービスは対象となるか確認しましょう。
国によって販売制限がある
発送する国によって、送ることが難しい商品もあります。
例えば、液体の入った化粧品やリチウムバッテリーの入った乗り物など航空危険物に指定されているもの、貴金属や宝飾品などは国問わず共通で発送ができません。また、国によっては特定の印刷物や、塩なども販売が禁止されていることもあります。
規制されている商品は、関税法により没収されたり罰金が発生することもあるので事前に確認が必要です。そして、法律改正により、今まで問題のなかった商品も規制されてしまう場合もありますので、定期的に現地の情報を把握し、改正があった場合にも柔軟に対応できるようにしましょう。
海外ネットショップをうまく活用しよう!
多くの人に商品を認知してもらう場合、知名度の高い海外モールがおすすめですが、費用がかかってしまう事もあります。コストを安くするには、海外向けネットショップを開設するほうがオススメです。どちらもメリット、デメリットがありますので、うまく活用していきましょう!
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