
現在、TwitterやInstagramなどのSNSでは、企業のサービス、商品の紹介、人材募集、イベントの集客、新規顧客の獲得など、さまざまな種類のSNS広告が出稿されています。
SNS広告とはどのようなものなのかについて、解説します。
目次
SNS広告とは?
SNS広告は、日常的に確認するSNSの配信面(タイムライン)に、PRしたい商品やサービスに興味や関心を持ってくれそうなユーザーに対してターゲティングを行い、該当するユーザーに広告を表示させる広告手法です。また、自社が保有するWebサイトに訪問してくれたユーザーに、再度広告を出稿するリマーケティング広告も出稿することもできます。
SNSに広告がある理由
2021年9月現在、私たちの日常生活の中で、SNSは切っても切り離せない存在となり、2011年を境にFacebookを始め、Twitter,LINE,Instagramなど、多くのSNSが普及していきました。SNSを使用する目的は人とのコミュニケーションはもちろんのこと、ここ数年では多種多様な情報収集の場としても活用されていることが多くなっています。
年々便利になっていくSNSですが、運用会社に利益(資金)がなければ新しく機能を開発することも出来ないだけでなく、運用さえもできなくなります。運用会社は利益を稼ぐために、「広告」を配信することで利益を稼ぎます。
ユーザーの方は普段何気なく広告をクリックしていますが、ユーザーが行ったクリックは、実は広告主が広告料金(クリック課金)として、SNS運用会社にお金を支払っているのです。
SNS広告のメリット
なぜSNS広告は人気があるのでしょうか。SNS広告には、おおまかに3つのメリットがあります。
- SNS広告はターゲティングが細かく設定できる
- SNS広告はBtoC向け広告が得意
- SNS広告には拡散力があり多くのユーザーにアピールできる
メリット1:SNS広告はターゲティングが細かく設定できる
SNS広告は、リスティング広告、新聞やテレビCMに比べ、詳細で精度の高いターゲティングで幅広く配信が可能です。SNS広告が詳細なターゲティングができるのは、各SNSを利用するユーザーのプラットフォームに蓄積されるデータがあるからです。
ユーザーデータを用いて広告配信するため、性別、年齢、コミュニティ、所在地などのセグメント(ターゲットの属性分け)だけでなく、趣味・関心などについても自社がターゲットとするユーザーに向けてピンポイントで広告を配信できます。
メリット2:SNS広告はBtoC向け広告が得意
当たり前の話になりますが、SNSのアカウントは個人の持ち物です。個人の持ち物であるため、SNS広告は企業が企業に訴求するBtoB向けというよりも、企業が一般消費者(顧客)を対象に訴求する、BtoC向けの商材の訴求が得意な傾向があります。
さらにSNS広告は、配信面がウェブサイトであるリスティング広告(検索連動型広告)が訴求できないSNSのみを活用するユーザーに対して、広告を届けることができます。
メリット3:SNS広告には拡散力があり多くのユーザーにアピールできる
SNS広告は拡散力があるため、想定した以上のユーザーに対して広告をリーチが期待できます。SNS広告の特徴として、広告配信したターゲットのユーザーが、何らかのエンゲージメント(いいね、クリック、シェア、コメントなど)をとることにより、他のユーザーに広告が拡散され、期待した以上のリーチが獲得できます。
ユーザーとの相性が良い広告であれば、拡散される可能性も高まり得るので、広告の配信内容を吟味することをおすすめします。
SNSごとの特徴
SNS広告と言っても、SNSはTwitter、Instagram、LINE、Facebookなどさまざまな種類があります。それぞれのSNSには、固有のユーザー傾向やSNSごとの広告配信の強みと弱みがあります。
そのため、SNS広告を配信したいと考えた時、ただ「人気だから」という理由で、広告配信先のSNSを選ぶのではなく、広告内容にあった配信先を考える必要があります。
Facebookの強みは、精度の高いターゲティングです。基本的に実名登録であり匿名性の低いFacebookでは、アカウント情報に嘘の内容で登録することはできません。
アカウント情報をごまかすことが難しい、正確性の高いアカウントが元となっているため、ターゲティングの精度はどのSNS広告よりも高いです。居住地域や年齢・性別だけでなく、職業や趣味といったユーザー自らの登録情報、行動履歴による興味関心まで、ターゲティングで設定可能です。
また、Facebookだけでなく、ニュースアプリの「グノシー」や飲食情報サイト「食べログ」といった、Facebookと提携しているスマートフォンのアプリにも広告を掲載することが可能です。
(引用:ANAGRAMS)
Facebook広告は、広告フォーマットも多く、商品やサービスによって様々な広告フォーマットでの配信が可能です。動画も配信できますし、カタログのように商品を並べられる「コレクション」もあります。
現在、Facebookは全世界で27億人を超える人が利用しており、日本でも約2600万人のアクティブユーザーがいます。しかし、2019年以降減少傾向にあり、以降、ユーザー数は公表されていません。
一方、アクティブユーザーで最も多い層は40代で、40代以上ではその年代の人口の3割程度のユーザーがいることから、比較的高い年齢層へのアプローチを検討している方には魅力的な媒体であるといえます。
Twitterは、日本では2017年10月現在で4,500万人が利用するSNSです。(2017年10月以降は公表されていません)Facebookとは違い匿名性が高いSNSであり、幅広い年齢層のユーザーが利用しています。
ターゲティングの手法としては、特定アカウントをフォローしている人にのみターゲティングを行う、Twitterで情報収集する人に効果的な検索キーワードで網をかけるということが可能です。
Twitterのアクティブな年齢層は10代から30代で、物販には弱い印象ですが、リツイートや引用リツイートという機能による拡散力が強く、潜在層へのアプローチは広告費以上の効果を期待できます。よって、認知に関しては他のSNSよりも効果的です。
話題性のある商材や面白い企画やサービス、少し変わった手法のキャンペーンなどのPRが、Twitterユーザーとの相性が良ければ、短期間で急激な拡散が期待できます。
企業や商品・サービスの知名度が、爆発的に高まる可能性を秘めているSNSです。しかし、投稿内容を修正する機能はないため、事前に投稿内容に問題がないかをよく確認しておく必要があります。
Facebookの傘下で運営しているInstagramは、2016年頃から急激にユーザーが拡大し、2019年には国内のInstagramユーザーはFacebookの利用者数を超える3300万となり、日本の4人に1人はInstagramユーザーという数値となっています。
(出典:総務省「令和2年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」)
Instagramは10代、20代で利用率が60%を超えているのはイメージが付くかと思いますが、実は30代で55.6%、40代で38.7%が利用しており、若い年代だけのSNSではなくなってきています。
写真がメインのInstagramは、広告として使用する画像がどれだけオシャレで目を引くかが重要になってきます。Facebookと同じプラットフォームなので、Facebookでの高度なターゲティングで設定を行うことが可能です。
Instagramは物販が得意であり、アパレル・コスメ・旅行関連の広告では高いパフォーマンスを発揮します。一方で、広告配信ターゲットに効果的な商材が限定されるため、ターゲット対象外への広告効果の期待は薄い傾向があります。
広告配信枠やターゲティング手法が少ないInstagram広告でしたが、現在は24時間で消える動画投稿のストーリーの合間に表示させるストーリーズ広告や、ショッピング機能、ビジネスプロフィールと交流した人をターゲティングする広告など、たくさんの手法を展開しています。
LINE
LINEは年々ユーザー数を伸ばし、2021年には日本国内で8800万人が利用しています。また、他のSNSと比べ圧倒的なユーザー数をもつだけでなく、利用者の80%が1日1回以上利用するという驚異的なアクティブ率の高さをもつメッセージアプリです。
(引用:ANAGRAMS)
広告掲載箇所はタイムラインとLINEニュースのほかに、LINEショッピングやLINEマンガなど7か所あるほか、LINE広告ネットワークを利用すると、クックパッドやウェザーニュースなどのLINEに関連したアプリにも広告出稿が可能です。
LINEのアクティブな年齢層は、10代から60代と幅広く、男女にも差がさほどありませんが、あらゆるサービスや商品のPRに対応できる広告配信方法といえます。
LINEの利用方法が、主にユーザー間のコミュニケーションであることから、他のSNSと比べ拡散力は期待できませんが、多くのユーザーに広告を見せることができるため、他のWwb広告では訴求できていない新規の顧客にアプローチできるというメリットがあります。
TikTok
TikTokは2016年にサービスが開始され、若年層を中心に世界的に流行している今勢いのあるSNSの一つです。国内の月間ユーザーは、10代・20代を中心に、約950万人に上っています。15秒ほどの短い動画から3分ほどの動画を投稿ができ、視聴者として他のユーザーが投稿した動画の視聴も可能です。
TikTokの広告の種類は「起動画面広告」「チャレンジ広告」「インフィード広告」の3種類があり、広告を掲載する目的に合わせて使い分けることができます。
「起動画面広告」は、TikTok起動時に表示されるため誰にでも見てもらいやすいという特徴があり、多くのリーチを獲得できます。
「インフィード広告」は、他の一般投稿と同じように掲載されるため、「いいね」やコメントもつきます。また広告だと気づかれにくいことも多いのがメリットです。
「チャレンジ広告」は、広告を出稿する企業がハッシュタグを用意する、ユーザー参加型、TikTokならではの広告です。
気になるTikTok広告の費用感ですが、最低42万円~最高1,000万円以上が相場になっています。
TikTok広告は、一度出稿してしまったら修正できず、広告不具合時にも対応をしてもらうことはできません。また、申込後のキャンセルも不可のため、慎重に広告を出稿する必要があります。
関連記事
各SNSの広告の出稿方法等は下記記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
〇Facebook
・Facebook広告の特徴を紹介!意外と知られていない仕組み
〇Twitter
〇Instagram
・【2021年版】Instagramストーリーズ広告の特徴や出稿方法・成功事例を徹底解説
〇LINE
〇TikTok
SNS広告とWeb広告の違い
SNS広告とWeb広告の違いはメリットの部分で少しお伝えしましたが、「ターゲティング精度の違い」です。リスティング広告では主に「検索キーワード」で配信のターゲットを絞りますが、SNS広告では、ユーザーが基本的なプロフィール(年齢や居住地)を記載するため、その情報に合わせてターゲティングが可能になります。
また、SNS広告では、あらかじめリーチできるユーザー数の予想値も知ることができることから、予算に見合うかなどの判断をしやすくなり、精度の高いターゲティングと合わせて費用対効果が高い特徴があります。
その他の違いとしては、リスティング広告ではテキストのみでの広告の配信となりますが、SNS広告では動画や画像を活用した広告を配信できるので、様々な角度からユーザーに広告を配信できます。
SNS広告を作るポイント
検索広告とは違ったメリットの多いSNS広告ですが、有効な広告出稿とするために、広告を作る上で抑えておきたいポイントをご紹介します。
①ターゲットを明確にする
SNS広告は、検索広告にはない細かなターゲティングができるため、逆にそのターゲティングを誤ってしまうと良い効果が得られないというリスクがあります。
そのため、どんなユーザーに届けたいのかを明確にすることが大切です。
②目的を定める
広告の目的が、認知なのか、それとも購入や来店なのかで、コンバージョンのポイントや成果の指標が変わります。
ビジネスのゴールを設定し、その中でもSNS広告でアプローチしたユーザーにどうしてほしいのかを意識した戦略設計が必要です。
③見せ方を考える
SNSごとの特徴でも説明したとおり、それぞれのSNSで見せ方もターゲットも得意分野もフォーマットも変わります。そのため、自社にあったSNSがどれなのかを見極めなくてはなりません。
また、静止画や動画、静止画でも複数の画像を見せられる「カルーセル」であったり、InstagramストーリーズやTikTokは縦型であったりとクリエイティブの見せ方は様々です。
さらに、各SNSで「流行りの見せ方」やユーザーの層がどんどん変化していきます。
同じクリエイティブを何度も見せられたユーザーは広告に飽き、興味を持たなくなるため、無視されないクリエイティブをリフレッシュしながら見つけていくことが重要です。
④ユーザーの立場で考える
SNS広告の拡散性が高いという点はメリットのひとつですが、その分炎上のリスクが高まります。
さまざまなユーザーが集まるSNSでは、どのような情報がユーザーに非難され、ユーザーが広告に対してどういった捉え方をするかなど、予測困難な点が多いです。そのため炎上に繋がってしまうリスクが高くなります。
完全に炎上のリスクを避けることはできませんが、広告を配信する側として、広告を見るユーザーの立場になって広告を作成し、運用しなくてはいけません。
SNS広告の活用事例
【Facebook】リノベ不動産
(参照元:Facebook成功事例)
中古住宅の購入からリノベーションまでの事業とする「リノベ不動産」では、潜在顧客に効率的にリーチするために、Facebook広告を利用しました。
地域と興味関心、カスタムオーディエンスと類似オーディエンスを活用し、写真広告、動画広告を配信しました。また、Instagramでも同様に広告を配信して多くの潜在顧客へのアプローチを実施しています。
お問い合わせ件数が月平均85%アップした他、予算の最適化を実施し、お問い合わせ獲得単価を50%削減させることに成功しました。
【Twitter】シナボンジャパン
(参照元:Twitter活用事例)
アメリカンスイーツを販売する「シナボンジャパン」では、コロナ禍によるオンラインショップ販売をきっかけに、新規顧客獲得のため、Twitter広告を利用しました。
オンライン販売の購買データにより広告のターゲットを絞って、広告を配信しました。広告実施前に比べ、ツイートへのリプライ数は1000%増加したほか、購買層も拡大しました。
【Instagram】MOO:D MARK by ISETAN
(参照元:Instagram for Business)
MOO:D MARK by ISETANは、大手老舗デパート三越伊勢丹のオンラインギフトサイトです。ホワイトデーに合わせて、Instagramフィード広告で効果テストを実施しました。ターゲットは年齢や購入完了者の類似オーディエンスを活用しました。Facebookのみで広告配信をしていた時期に比べ、購入数は1.5倍に増加しました。
【LINE】株式会社ヤッホーブルーイング
株式会社ヤッホーブルーイングは、クラフトビールの製造・販売を行っています。以前からSNSでユーザーとの関係を築いてきましたが、LINE公式アカウントの友だち増加を狙ってLINE広告を実施しました。
LINE広告により、友だち数が大幅に増加しただけでなく、幅広い年代の新規のユーザーとのコミュニケーションが可能になり、WEBサイトへの流入も増加しました。
(参照元:LINE for Business)
【TikTok】株式会社コティスエルト
ジェンダーレス化粧品を展開する株式会社コティスエルトでは、ブランドの認知獲得のためにTikTok広告を実施しました。
展開するジェンダーレス化粧品は10代後半から20代のZ世代をターゲットとしているため、TikTok広告を選択しました。広告色の薄い広告クリエイティブを4パターン準備し、比較検討できるようにしました。ブランドサイトへの流入は2~4倍に増加し、売上も伸び始めています。
(参照元:TikTok For Business)
SNS広告の効果測定
どんな広告でも、広告を行うにあたり一番頭を悩ませるものが効果測定ではないでしょうか?
Web広告やSNS広告は、広告ごとにどれだけ表示・クリックされ、購入につながったかなどが数値で見ることができるため、目的を定めて実施すれば、雑誌やテレビなどの従来のメディアに比べて、効果が見えやすい広告です。
SNS広告においては、そのSNSごとに得意分野があるので、それぞれの広告でよく使われている指標についてご紹介します。
Facebook広告は、認知だけでなく、購入や申込みといったことも得意な広告です。
そのため、認知の指標としては、ユーザーの目にどれだけ入ったかを示す「インプレッション数」や、どれだけの人に届いたかを示す「リーチ数」が使われることが一般的です。購入や申込みについては、ユーザーがその操作を実施した数を示す「コンバージョン数」や「コンバージョン率」が使われます。
Twitter広告は、認知と情報拡散が得意な広告です。
そのため、広告の表示数を示す「インプレッション数」や拡散された様子がわかる「リツイート数」や「いいね数」も指標になるほか、自社公式アカウントのフォロワー数の増加も大事な指標になります。
Instagram広告は、Facebookと同様に、認知や購入といったことが得意です。特に、視覚的に訴える広告なので、ブランドイメージ認知も得意です。
そのため、指標はFacebookと同じく、「インプレッション数」や「リーチ数」「コンバージョン数」などを利用しますが、他に、広告によって公式アカウントへの流動を図ったときは、公式アカウントのフォロワー数や、投稿へのいいね数・保存数、動画の再生数も指標となります。
LINE
LINE広告は、新しいユーザーへの認知や、購入・申込みといったことが得意です。
そのため認知目的では「インプレッション数」や「リーチ数」、購入・申込みでは「コンバージョン数」や「アプリインストール数」も指標になります。その他、LINEの「友だち」獲得を目的としている場合は、「友だちの増加数」も指標となります。
TikTok
TikTok広告は、認知と拡散を目的とした広告媒体になります。
そのため、「動画視聴数」が指標になるほか、Instagram同様に「フォロワー数」も指標になります。また、「ハッシュタグチャレンジ」キャンペーンを実施した場合は、指定したハッシュタグでの投稿回数も、認知や拡散を測定する指標となります。
SNS広告は自社のペルソナにあったものを選ぼう
今回はSNS広告のメリットについて解説しました。広告配信したい商材やサービスが、どのようなユーザーと相性が良く、最適なSNSであるかについて把握し、目的を定めなければなりません。
ペルソナを事前にしっかり設定し、目的に沿った効果測定を定期的に行い、広告文やクリエイティブをこまめに見直しながら、ユーザーにとって魅力的な広告を配信するようにしましょう。
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