「SIPS」ソーシャルメディア時代の新たな消費者行動モデル

記事公開日:2016.09.06

最終更新日:2017.10.18

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みなさん、ここ数年でTwitterFacebookなどの人と人のつながりによって出来上がるメディア、いわゆるソーシャルメディアを始められた方も多いのではないでしょうか。このソーシャルメディアの普及が世界的に進み、日本でもスマートフォンの普及により、モバイル環境でのネット活用、特にソーシャルメディアの活用が年々増加しています。

今後このままの勢いでソーシャルメディアが普及し続けた場合に、コミュニケーションの方法も大きく変化していくことが予想されます。これにより、これからのソーシャルメディアが積極的に活用することを前提として考えられたたな消費者行動モデルこれが「SIPS」という概念になります。

SIPSの提唱

SIPSは、2011年1月、電通の佐藤尚之氏をリーダーとした社内ユニット「サトナオ・オープン・ラボ」(後の電通モダン・コミュニケーション・ラボ)が提唱した、ソーシャルメディアに対応した生活者消費行動モデルです。

Sympathize(共感する)Identify(確認する)Participate(参加する)Share&Spread(共有・拡散する)のそれぞれの頭文字から取られています。

企業のコミュニケーション・プランニングなどにおいて、ソーシャルメディアを積極的に利用している消費者を考えるうえの一つの概念です。


図表出典:電通「SIPS」来るべきソーシャルメディア時代の新しい生活者消費行動モデル概念

AIDMAやAISASとの違い

消費行動モデルとしては、従来からあるAIDMAAISASなどが有名です。「SIPS」この消費行動モデルを否定するものではなく、より現状を反映した形の概念です。

あくまでソーシャルメディアの浸透を契機に、消費者が普段獲得している情報の取得経路や購買への動機づけがどんどん変容している点に注目し、消費者の消費の在り方そのものや社会意識の変化も含めて、消費者の行動を「消費者視点」でより深く掘り下げています。

情報の伝わり方の変化

ソーシャルメディアが普及したことで、広告コミュニケーションに大きくふたつの変化をもたらしました。マスメディア全盛期の時代は、新聞や雑誌、ラジオ、そしてテレビに加えて街頭などでの広告、チラシ、店頭媒体など利用することで、発信者サイドのメッセージを消費者へ届けるシンプルな構造でありました。

しかし、インターネットが普及が拡大したことにより、消費者自身が情報を検索したり共有発信することが簡単にできるようになり、マスメディアに加えてもうひとつの情報入手経路を得たことになります。

双方向になった情報伝達

あらゆる情報伝達がデジタル化したことにより、今まで一方通行であった情報伝達が、インターネットが双方向の情報のやり取りを可能にしたことが相まって、生活者が日常ふれる情報量は格段に増加しました。

こうした点を踏まえ、「SIPS」は単に消費に関するプロセスの変容を表したものだけではなく、消費のあり方そのものや、消費者の社会意識の変化も指摘したモデル
であると考えられる。企業においても、これらの状況を十分理解した上で、マーケティングやコミュニケーション施策を実施することが欠かせなくなってきています。

SIPSの流れ

1.共感する(Sympathize)

企業が広告をアピールする場合、企業活動、社会貢献活動、PR活動など企業イメージがポイントになります。いきなり商品の広告を出しても、なかなか消費者の共感を得ることは難しいです。なので商品に対して「共感(Sympathize)」を得るために商品力も重要ですが、普段からの広告、広報活動が重要になってきます。

さらに、その商品の情報を共感し広めていく人が、信頼できる友人、有名人、有識者など、誰がその情報を語っているかも大きな力を持っています。共感することに必要なことは、いかに、消費者に共感される広告、そしてアプローチ表現するかがポイントになってきます。

2.確認する(Identify)

消費者が「共感(Sympathize)」したら、すぐ「参加(Participate)」してくれるか言ったら、そうでもありません。AISASの場合では、消費者は「検索(Search)」のあとに「行動(Action)」になり、そして「購入」となりますが、情報洪水と成熟市場により、消費者はかつてよりはるかに賢く疑い深くなりました。

日本社会の長い不況とエコ意識の高まりもあり、余計な物を買ったりすることに慎重になっている傾向にあります。共感した商品でも本当に自分に有益かどうか、価値観があっているかどうかを、検索だけでなく、親しい友人や家族、そして知人の意見、専門家など、あらゆる多くの手段で「確認(Identify)」しています。

そのチェックをして、その情報や商品が自分の価値観に合い有益であることが「確認(Identify)」され、初めて「参加(Participate)」へとすすみます。

3.参加する(Participate)

SIPSモデルにおいての共有行動は、必ず購買を伴う必要はありません。

購買まで至らなくても、「ちょっといいかも!」と思ったり「とりあえず友人に伝えよう」という考えで、Twitterの「リツイート」やFacebookの「いいね!」ボタンなどを押し、軽い気持ちで友人・知人に広めることが、結果的に友人・知人の購買につながる場合もあります。そして、ある企業のブランドを応援したり、批判を擁護したりとこのような行動も、友人や知人の興味喚起につながることになりますので、これも「参加(Participate)」しているととらえることができます。

このように実際の購買だけに限らず、これらの購買を伴わない行動も含めて、SIPSでは「参加する(Participate)」と呼び、いかに「共感(Share&Spread)」してもらうかに次ぐ重要な要素となります。

4.共有 & 拡散する(Share & Spread)

ソーシャルメディアの特徴の一つに「リアルの友人や知人を見つけやすい」ということが背景とあります。そしてこれも当たり前ですが、リアルな人間関係そのものをソーシャルメディア上に持ち込みやすいということにつながってきます。

「確認(Identify)」を経て「参加(Participate)」したことで消費者は、その参加活動や情報を友人・知人と主にソーシャルメディア上で「共有(Share)」しようとします。そしてそれはさらに『あなた』という発信元への「共有(Share)」をもって伝わっていきます。

さらにソーシャルメディアでつながった情報経路は、あなたが属しているコミュニティーをも超越して、他のコミュニティーへも自動的かつ無自覚に広まって行きます。これが「拡散(Share)」であり、「SIPS」においてとても重要な概念です。

そして最後に情報を拡散する役目を担うのが企業ではなく私たち消費者自らであることで、またほかの消費者の共感を呼びやすく、「SIPS」が何度も循環していく中で、参加者の母数がどんどん大きくなっていきます。この母数拡大ループこそソーシャルメディア時代のキャンペーンのキーポイントであり、参加人数の母数を増やすことで結果的に購買の増大につながっていくのです。

まとめ

現在、ソーシャルメディア時代の広告コミュニケーションは、『つながり』と『共感』をキーポイントに大きく変化しています。つまり、「SIPS」では共有&拡散がゴールではなく、次の共感への始まりでもあります。

企業は「共感(Sympathize)」「確認(Identify)」を得ることで、消費者に「参加(Participate)」してもらい、「共有&拡散(Share & Spread)」までのサイクルをソーシャル上で何度も回し、
「参加(Participate)」のレベルを徐々に高めブランディングに、そして企業に対するファンを増やしていく必要があるのです。そのサイクルのはじまりとして、『つながり』の中心にいる応援者や支援者などにアプローチしていく必要があります。

このファンの獲得には、クロスメディア、コンタクトポイント設計、SEM、コンテンツ・コミュニケーション、エスノグラフィなどの「生活者本位のアプローチ」はこれまで通り重要なものであります。情報を「拡散(Spread)」を加速させるという意味において『マスメディアによるアプローチ』も大切です。ソーシャルメディアに深くかかわっている人も、実は相当の部分マスメディアの影響を受けているということも忘れてはいけない点です。

べてが「SIPS」に当てはまるわけではないので、製品やサービスの特性や情報との接触する起点によっては、今後もAIDAMAやAISASが有効な場合であることも必要なのでそのケースごとによって考え方を変えていきましょう。

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筆者

C.Tada

Bigmac株式会社 メディア事業部所属。 広告の楽しさと文字がもたらす可能性の広さに惹かれ、2016年にBigmac株式会社に参画。 SEOの奥深さと面白さを感じながら業務に行い、より面白く読みやすい記事をライティングすることをモットーに、日々日本語と格闘中。 趣味は読書と史跡巡りと水族館に行くこと。好きな食べ物は焼肉とコーヒー。高校野球観戦が大好きでよく見に行くが、ルールはまだいまいちわかっていない。

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