嫌われる広告、好かれる広告

車の運転中に目に入る野立看板。探していたお店の場所を教えてくれたり、店舗のオープンを教えてくれたりと、その手法は広告として一定の役割を果たしていると感じます。ですが一方で、慣れてしまえば内容が変わらない限り情報として受け取る可能性も少なく、中にはその看板があるせいで、道路沿いの店舗が見えなくなっていることや、その先の景色を遮られている風に感じて、看板自体の存在意義を疑ってしまう方もおられるのではないかと思います。マス媒体やネットなど、看板以外の数多くの広告手法も同じく全ての人が好意的に捉えてくれるとは限りません。そういう時代にあって広告会社は、企業が届けたい情報を、消費者に好意的に受け取ってもらえるような手段を選択する責任があると思います。

求めていない人に広告は受け入れられない

民放テレビ局をはじめ、多くの媒体社は企業の広告費で成り立っています。ですが宣伝広告というのは本来、受けてが求めていないと受け入れられにくい存在です。それはなぜか。広告がその生活者の見たい、聞きたい、読みたいといった欲するコンテンツを邪魔をするものだからです。例えば、見たいテレビ番組を録画視聴する時。番組を再生する時に、CMを飛ばして見ることが習慣となっているでしょう。年々広告費が増大するネット広告の手法でも、様々なものがあります。もちろん効果が認められているからこそ、多くの企業がネット広告に予算を投下しているのですが、発信する内容と手法を上手にマッチさせ、概ね出稿するだけのマス広告とは違う効果を発揮するためには、豊富な知識と情報を持つプロに任せないと難しいのではないかとも感じています。

スマートフォンでゲームを楽しんでいる最中に、ミスタッチを誘発させるような出し方。同じくスマートフォンで下に向かって移動するような、ユーザーが見ようとしているサイトや記事コンテンツなどを遮るような出し方や、ポップアップで出てくるような広告に対しては、あまり好意的に捉えていないのではないかと感じます。多くの人が見ているであろうメディアに発信すれば、消費者に受け入れてもらえるのであれば、広告のプロは必要ありません。売り込みや宣伝というものが、基本的には求められていない存在であることを理解し、その上で商品に対して良いイメージを持ってもらうために、企業や広告会社は様々な訴求方法を考えているのです。

好かれる広告とは

しかし、広告物の全てが消費者に受け入れられない訳ではありません。皆さんにも、好きなCMやCMを通じて好きになった企業があることでしょう。毎年、マーケティング会社によるCM高感度ランキングで上位に入る企業も存在します。航空会社や旅行会社や飲料メーカーなどが多いという印象ですよね。大手企業だけでなく、地方の企業でも耳馴染みの良いオリジナルCMソングやキャラクターなどを使ってイメージの定着を図っています。

心に残り、良いイメージを持ってもらえる広告。つまり好かれる広告には、一体何が大切なのか。重要なのは、何を伝えたいのかということの明確化だと思います。その目的が企画制作の段階で明確にされていること。伝えるべきものがあって初めて、どう伝えるのかという手段が選択できます。

ともすれば企業は、その点をないがしろにしてまず広告をする事在りきになりがちです。結果、何を訴えたいのかわからない、人の心に残らない広告となってしまいます。自分たちの情報をより多く発信することだけに執着してしまうと、嫌われる広告となってしまう可能性も高くなってしまうのではないでしょうか。

情報を届けたい相手のことをしっかり考えることが大切です。自社の商品を届けたいターゲットが、何を好み、何を嫌うのか。徹底的に考えることで、使う文言や使用するBGMなどのクリエイティブの方向性も定まってくるはずです。

スパイウェアによる被害や個人データの流出といった面もありますが、便利な情報利用体験をした現代社会において、インターネットはもはや不可欠なもの。そして、インターネットでの広告も当たり前の時代です。ユーザーも、テレビでCMが入るのと同じく、ネット広告を当然あるものとして捉えているでしょう。当たり前になったからこそ、ネット広告に対してユーザーが慣れてしまい、見る目も厳しくなってきている状況です。

効果を生むために、一定量の露出を確保することは必要です。その上で、ユーザーがその広告を見た時に好意的に受け取ってくれるのかどうか。その意識を持たないまま、ユーザーの気持ちを無視したような広告の出し方をすれば、企業イメージの低下にも繋がることでしょう。

広告手法や内容は言ってしまえば無数にあるもの。その中で好かれる広告となるには、自分さえ良ければOKという考えではなく、ユーザー目線で共感を得られるものでなければならないと感じます。

まとめ

ネットで直接商品を購入したり意見をもらったり、昔と違って今はユーザーと企業が直接的に繋がっている時代です。だからこそ、ユーザー目線で今の時代に即した正しい手段、適切な広告手段を講じられるプロフェッショナルな存在が貴重なのではないでしょうか。人の気持ちを想像し、広告を考える。シンプルで基本的なことを忘れずにいたいものです。

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筆者

Y.Nakahigashi

ラジオ局勤務を経て現職。若いスタッフが多いオフィスに、若干落ち着かない40代。見るもするもの野球好きで、少年野球の指導にも携わる。週末に野球をとるか家族をとるか。その選択が現在のもっぱらの悩みとなっている。いつまで経っても100を切れないゴルフと、知人から半ば強制的に連れて行かれる山登りを少々たしなみ、人畜無害の外見からか、知らない人に道を尋ねられることも多数。好きな動物は猫。好きなテレビ番組は「旅サラダ」。

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