日常生活でワーキングメモリーを強化する方法

前回、集中力と人間の脳の特徴・仕事を進める上でおさえておきたいポイントを時間帯毎にご紹介・質の良い睡眠についての記事を書かせていただきました。この記事を書いている際に気になった「ワーキングメモリー」について今回はご紹介いたします。

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ワーキングメモリーとは脳のメモ帳である

人間の脳にはワーキングメモリーが存在します。脳科学研究に詳しい苧阪教授が、ワーキングメモリーは脳のメモ帳と説明をしているように、情報を一時的に保持しておきながら、また別の作業をするときに必要な作動記憶力の領域になります。

日常生活でもワーキングメモリーを活用している

作業というと、仕事などをイメージする方も多いかと思います。しかし、ワーキングメモリーを活用していることは日常生活の動作でも沢山存在しています。

会話に活用すると話し上手になれる

コミュニケーションをとることは実はとても高度な作業です。自分の思いだけを一方的に話していては、聞いている側は飽きてしまいます。このように一方的な会話をする人と思われないためには何が必要でしょうか。相手の会話を聞きながら、相手が伝えたい思いを、フレーズやキーワードとして頭の中に一時的にストックしながら他の作業をする。この作業を重ねる必要があります。会話とは話を聞きながら、相手の話に適切な返事やあいづちを打つ。この作業は相手の思いをキーワードやフレーズとして、頭の中にストックしながら行う作業です。一見、ワーキングメモリーを活用していないようにみえますが、ワーキングメモリーをフル活用する作業です。

情報量の多い会話、相手の機嫌を考える会話、誘導する会話、気持ちを共有する会話、その場の空気を察した返答、社交辞令、褒め言葉、ガールズトーク、あらゆる状況と相手のテンションで、言葉と頭の中の情報を使い分ける必要性もあります。ワーキングメモリーを活用せずに話した場合をご紹介します。

「今日は、午前中は曇るけど、午後からは晴れると今朝のニュースで話していたよ。」このコメントに対して、「味噌汁ちょうだい。」のように、どうにも噛み合わない会話となります。

ワーキングメモリーを活用せずに言葉を発すると、相手が今朝のニュースで理解した今日の天気の流れや、今、この話をどのよう思いで自分に話しているのかを、頭の中に一時的にストックできないまま、返答すると、一方的な噛み合わない会話になってしまいます。このような上記例を踏まえると、相手を褒めることはとても高度な作業だという事がわかります。褒めるためには、相手の会話、様子、態度、雰囲気、全てを頭の中にインプットしながら、会話を進める必要があります。

会話が上手な人に共通していると言われているポイントが、聞き上手であり褒め上手であることです。ワーキングメモリーを活用できなければ聞き上手や、褒め上手になることも困難です。

掃除に活用すると片付け・整理整頓がはかどる

ワーキングメモリーは掃除、片付け、整理整頓にも関わりがあります。掃除をするときによくある状況は、既に物が設置されている状況、もしくは置かれている状況で掃除を進めることがほとんどかと思います。

例えば、掃除機がけをする場合、床に荷物が置かれている状態であれば、スムーズに掃除機がかけれる方法をまず考えますよね。その時に、荷物をどかしつつ、掃除機をかけ、整理整頓して荷物を戻すような行程になる場合もあります。この作業でも掃除機をかけながら、別の動作を挟む際にも作業記憶をする機能が使われています。お掃除や整理整頓はワーキングメモリーを活躍せずに進めると、散らかった部屋はなかなか綺麗になりません。ワーキングメモリーを意識し、掃除、片付けをすることで記憶を司る能力を強化トレーニングになります。ワーキングメモリーを意識するとはどのようなことを意味するのでしょうか。

ポイントとしては、片付けの段取りを考える。必要が不必要かをジャッジするルールを見つける。綺麗になった部屋をイメージする。不必要な物をリサイクルする方法を自分で決める。不必要な物とする前に、今までありがとう!と、感謝を気持ちをイメージして、しっかりゴミを分別する。この5つのポイントに意識を向けるだけで脳は活性化されます。

料理に活用すると効率よく時間短縮ができる

経験や調理した事があったり、食べたことがあるかなども影響しますが、ここではワーキングメモリーと料理の関係性をわかりやすく伝えるために、極端な表現をしてご紹介します。料理にもワーキングメモリーを活用しています。例えば、肉じゃがとサラダと卵スープを作る場合を考えてみましょう。ワーキングメモリーを活用することが苦手な場合、それぞれの料理の作業工程をひとつひとつ別々の作業として思い浮かべたり、レシピを確認しながら、肉じゃが→サラダ→卵スープと順番に作っていく傾向があります。

一方で、ワーキングメモリーが強化されている人は、3つの料理の作業手順を頭の中でイメージすることが可能で、肉じゃがとサラダと卵スープ を並行して調理を進めることができます。効率を上げるために、皮むきや切る作業を、メニュー全体に必要な食材全てを、まとめて終わらせたり、お鍋をかけている間に洗い物や片付けをしたりと、料理が完成した後に、すぐ食卓で家族が食事できる状態することが可能です。

ワーキングメモリーは日常生活でも強化できる

ワーキングメモリーは強化することができます。発達障害者などハンデキャップをお持ちの方の訓練でも取り入れられているワーキングメモリー強化法をご紹介いたします。

買い物で強化する方法

買い物はワーキングメモリーをフル活用する作業です。

洋服を店員さんに相談しながら購入する

洋服を買いにお店に行って、お店に陳列してある洋服を見比べたり、店員さんと会話をしたり、試着をしてAの商品とBの商品で、どっちにしようか悩んでいるうちに疲れてしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。このお店で洋服を選ぶときに良くあるシチュエーションは、ワーキングメモリーをフル活用する作業ばかりです。

・沢山のカラーとサイズ、形が違う商品の中から、イメージに近い商品を候補に選ぶこと。
・店員さんの接客から、最新のトレンド情報は受け取りつつも、誘惑に負けないように注意をはる会話。
・自分が持っている洋服を活かしながら、コーディネートした場合をイメージする。
・計画を立て予算を考えながら、最適な買い物をする。

このように、洋服ひとつ選ぶにあたっても、自宅にある洋服の形状、色合い、サイズ感、用途を把握して、頭の中に一時的に置いておく必要があります。このワーキングメモリーを活用することで、自宅に帰って着用みても、後悔しない洋服選びができます。

スーパーで食材の買い出し内容をメモらない

こちらもワーキングメモリーを強化することが可能です。冷蔵庫の中身をチェックする際にメモを取らず、買い物に行くことです。冷蔵庫の中身をチェックしてから、スーパーに行くまでにいろんな動作や作業を挟むことになります。

例えば、献立を考える、エコバッグの準備、身支度、車の運転などがあるかと思います。

スーパーに着いても、特売の文字や美味しそうな香り、判断を揺がす新しい情報や動作を挟むことでワーキングメモリーのトレーニングになります。お会計の際にもポイントがあります。購入総額を暗算しながら買い物をして、お釣りが少ないように考えて支払い金額を出すことです。小銭を計算し、支払うことが面倒でクレジットカードを利用したり、紙幣で支払う癖がついている方も多いかと思います。

その日にやり終えたいことを覚える

休日であったら、平日できないことを今日中に終わらせたいと思うことがあると思います。今日やるべきことを頭の中でスケジュールを覚えておきながら、一日を過ごすことで、段取り脳とも呼ばれるワーキングメモリーを活性化することが可能です。洗濯をまわしている間に、料理と台所の片付けをする。子供たちと遊びながら保育園の準備をするなど、効率的な同時進行をすることもトレーニングになります。「Nバック課題」などのスマホアプリを活用して記憶力を上げる方法もありますが、日々の生活の中で継続して、ワーキングメモリーの強化方法をみなさんも探し出してみましょう。

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