スマートフォンが及ぼす広告市場への影響

記事公開日:2016.02.15

最終更新日:2017.09.05

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総広告費の約1/4を占める株式会社電通の推計値によると、2016年度の日本の総広告費は緩やかな景気の拡大によって増加し、6兆2,880億円、前年比101.9%で、5年連続のプラス成長という実績が発表されました。

媒体別にみる広告費の推計

新聞広告費、雑誌広告費の減少

新聞広告費、雑誌広告費が前年比を下回りました。新聞購読部数の減少や、デジタルメディアの規模の拡大が原因とみられています。

テレビメディア広告費

地上波テレビは1兆8,374億円(前年比101.6%)でした。業種別にみると、ファッション・アクセサリー」「自動車・関連品」等は減少しましたが、「化粧品・トイレタリー」「情報・通信(スマホアプリ広告など)」の広告が増加し、前年実績を上回ったと考えられます。

特に、スマホ関連の広告の増加したことで、好調に推移したと考えられます。地域別では通年で、全32地区中、25地区が前年実績を上回ることになりました。

また、衛星メディア関連は1,283億円で(前年比103.9%)という結果でした。BS・CS・CATVの全てで伸長した通販系広告が大きく、各メディアによってスポーツや若年層向けの音楽番組など、それぞれ広告出稿を拡大していったことにより、前年実績を上回ったと考えられます。

インターネット広告媒体費

インターネット広告媒体費は1兆378億円(前年比112.9%)でした。媒体費が初めて1兆円を超え(制作費除く)、インターネットメディアへのシフトが続いていることが分かります。

データ・テクノロジーを重視する広告主が増加し、データ連携が可能な運用型広告の注目が集まったことや、高機能化により、ブランディングやリーチ等の機能も兼ね始めた事などが媒体費の増加理由として考えられます。

スマートフォン広告市場動向調査の調査概要

また、株式会社D2Cは、株式会社サイバー・コミュニケーションズの協力の下、調査機関デジタルインファクト(株式会社シード・プランニング)を通じて、インターネット媒体社に対しスマートフォン広告市場動向調査を行いました。

調査方法はヒアリング、及び調査主体・調査機関が保有する各種データの収集・分析を行いました。

その結果、デバイス別にみるとインターネット広告費の過半数がスマートフォン広告費だと判明し、インターネット利用のモバイルシフトが進むことで、広告費のモバイルシフトも必然であると推察されます。

インターネット利用端末の種類

また、総務省が開示しているインターネット利用端末の種類では、2015年末の時点で、パソコンが56.8%に対しスマートフォンは54.3%となっていました。

今後もパソコンの所持率の低迷に比例し、スマートフォンの所持率の拡大が予想されています。

スマートフォン広告費の種別成長率

インターネット広告媒体費をデバイス別に見ると、スマートフォン広告市場の成長は、ソーシャルメディア向けの広告や、動画コンテンツの需要拡大がけん引していると考えられています。ここでは、広告の媒体の解説と市場規模の拡大・縮小の解説を行います。

検索連動型広告

検索連動型広告とは、インターネット広告のひとつです。検索エンジンにより利用者が検索したキーワードに関連するテキスト形式の広告を、検索結果画面に表示します。

検索連動型広告の割合が増加する理由

株式会社サイバーエージェントの連結子会社である、株式会社CyberZの調査によると、2015年の時点で、スマートフォン広告商品別市場規模の中から、検索連動型広告市場は1,380億円(前年比115.0%)という結果でした。

検索連動型広告の割合が急増した理由として、スマートフォンでの検索利用の定着によって検索クエリ数が増加したことや、広告配信精度が改善されたことによって1検索クエリ当たりの広告収入が増加したことが考えられます。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告とは、サイト上に掲載される広告の事です。
以前はサイト上の広告枠にテキストやバナーを掲載出来ると言うだけでした。

しかし、最近では、配信対象のセグメントを細かく設定できたり、対応するフォーマットが多様化した事によりFlashを使って動画バナー広告の配信が出来たりと進化しています。

ディスプレイ広告の割合が増加する理由

2015年の時点で、スマートフォン広告商品別市場規模の中から、ディスプレイ広告市場は2,225億円(前年比135.0%)という結果でした。

(媒体社が広告商品を企画・販売する単一媒体の、広告枠の上に表示される「純広告」と、アドネットワークやDSPと呼ばれ、媒体社以外の広告会社が複数の媒体に、一括で配信を行う「アドネットワーク・DSP広告」に分類して市場規模を推計されています)

ディスプレイ広告の割合が急増した理由として、ソーシャルメディア向けの広告商品が充実し、インフィード広告や動画広告など、スマートフォンの特性を生かした広告商品により、新しい広告主層が開拓され、投資意欲が高まった結果、高水準の成長率になったことが考えられます。

また、スマートフォン広告を出稿する、大手広告主のプロモーション目的の変化などにより、ディスプレイ広告商品の出稿先媒体や、広告フォーマットに対する嗜好の変化が見られました。

成果報酬型広告

成長報酬型広告とは、広告を通じユーザーがホームページを訪れ、商品の注文や資料請求を行なう等、実際に何らかの成果があった場合に広告料が発生する仕組みの広告を指します。

成果報酬型広告の減少の理由

2015年の時点で、スマートフォン広告商品別市場規模の中から、成果報酬型広告市場は112億円(前年比70.0%)という結果になりました。

成果報酬型広告の割合が減少した理由として、広告主の事業の移行による、需要動向の変化や、他の広告商品との競合性が高まったことが原因として考えられます。

リエンゲージメントディスプレイ広告市場の規模の拡大

スマートフォンの普及により、毎年、多くのスマホアプリが誕生しています。

その多数のアプリの中でユーザーを確保する為、アプリ広告主が持つユーザーデータを活用し「ユーザーの呼び戻し」を行うインターネット広告の事を「リエンゲージメント広告」といいます。(再エンゲージメント広告とも呼ばれます)

Eコマースサービス運営者やゲームアプリ等の広告主は、今まで新規ユーザーの獲得を目的にスマートフォン広告を活用してきました。

ですが、新規ユーザーによる需要が一巡したため、現在は既存ユーザーといかにして関係性を深め、収益を高めていく事についての関心が高まりました。その為、リエンゲージメントを目的とした出稿需要が顕在化し、市場規模が拡大したと考えられます。

リエンゲージメント広告は、スマートフォン広告市場において、今後も有望な成長領域とされています。

今後のスマートフォン広告市場の予測

スマートフォン広告市場は2015年、2016年、2017年と徐々に拡大しており、2020年には2015年に比べて約2倍、7,527億円に到達すると予測されます。

また、2022年には、動画視聴の需要が高まり、動画広告市場におけるスマートフォン比率は全体の約84%を占め、インフィード広告は3,013億円、そのうち1/3が動画フォーマットだと推測されます。

若年層ユーザーへ、テレビ広告等やマスメディア広告をリーチすることは本来難しいものですが、スマートフォン広告はそれを得意とするという認識が定まりました。

そこで、スマートフォン広告ならではの、従来のインターネット広告には見られない新しい広告手法や広告表現を用いた商品の登場などにより、主要メディアとしての一定の地位を築きました。
今後も、スマートフォン広告による収益を目標し、今後も様々な企業が続々とスマートフォン広告を打つでしょう。

また、今後はスマートフォンならではの「位置情報」を活用し、ユーザーの消費行動に沿った広告商品の需要が高まり、また、マーケティング・チャネル(メーカーが商品を消費者に届けるまでに作られた経路)としての重要性もさらに高まるだろうと予想されています。

その間も新たなスマートフォン広告への技術が出現すると考えられ、更なる広告市場の活性化が期待されます。

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